Valenciennes Träumereien

ワクワク、ドキドキ、ときめいたり時には悩んだり。アラフィフ主婦の愛と勇気と愛しい声と。

141108-09 モーリス・ベジャール振付/ズービン・メータ指揮 第九交響曲@NHKホール

さてさて、お待たせしました?!第九の感想です。

・お礼は♪こちら♪
・まだ気持ちの整理がつかない〜〜とぐちぐち言ってるのは♪こちら♪

今回はバレエとのコラボだったので
バレエが前、オケとソリストは舞台奥の一段高いひな壇、合唱はさらに高い位置で脇に女声と男声・・という感じの配置でした。

3回とも2階席で、最初は左サイドの中くらい、9日の昼公演はセンターの19列目(後ろから2列目)最後がセンター10列目(これだけA席)で、
条件としては最後が一番良かったし、演奏も最後が一番良かったと思います。
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でも、ただでさえ音響の悪いNHKホールで、オケはそこまで引っ込んでいるし、なんかやっぱり「バレエに合わせている感」を感じてしまうせいか、音が全然飛んでこない…


実は私、今回のバレエとのコラボで初めて知って、軽く衝撃を受けたのが
バレエの演奏に一流オケがつくことは殆どなく(生オケでもいわゆるトップ奏者はやりたがらない、とか…)

今回のコラボにも参加している東京バレエ団は、普段は録音で踊ってる…それは、生オケだとテンポが揺れたりすることがあるけど、例えば歌手はそれに合わせて柔軟に対応できるけど、
踊り手はそれができないからね・・ってこと。

言われてみれば確かに納得なんですが、
バレエを観るのは二回目、普段オペラと声楽ものを中心に聴いている者としてはいささか驚いた次第です。

で、まあ、恐らくメータもイスラエルフィルも普段バレエの演奏をしてないだろうから、どうしても慎重にならざるを得ないんじゃないか…ということを、同行した友人から聞いて、なるほどへえ~と思ったのでした。

それでも、イスラエルフィルの今回のツアー中、評判の良かった弦楽器の美しさには時々はっとさせられることもあったし、初日はティンパニーの音も弱くて、えええ〜?という感じだったけど、回数重ねる事に強くなってきたし、

第4楽章で人の声が入ったら、やっぱり相乗効果でぐいぐい来た・・!と感じたところもあります。

特に最終公演の直後は、色々考えてながら聴いていたせいもあってか、暫く腰が抜けたような状態で立つのがやっとで、ロビーの椅子で暫く息を整えてましたから。

【Ballet】

で、肝心のバレエですが、
まーとにかく、バレエを生で見るのは2度目というほどのバレエ音痴で^^;
そんな私が、何をどう語ればいいのやら・・なんですけど;;

あー、最初のパーカッションは個人的にはちょっと・・;ジル・ロマンの朗読だけで充分インパクトあるのでは?と思いましたです。。

ただでさえ一番長い第一楽章、ダンスは体操みたいだな~とか、指揮もオケもそういう感じで、バレエに合わせている感が漂っているように感じられ…半分睡魔に襲われそうだった・・というより、意識が遠のく瞬間、確かにありました^^;

特に初日は仕事してから直行したので、疲れもあったのと、左サイドからだと死角もあり、更には前の方の座高がやけに高くて、舞台の一部が欠落して見えてたし。。。(言い訳)

第二楽章に入ったら、ベジャールバレエ団のメンバーも加わって、少しは良くなったんだけど、
でもやっぱり、自分が「飛んで来ない」音楽に乗り切れない感があって。。。これは音響のせい大。

そして第三楽章の始めに声楽ソリストが入場して来てからは、もうバスソリストを双眼鏡でガン見することに集中して
その後はバレエ…すみません、3公演とも殆ど観ちゃいません。。。

(ああ、言ってしまった…)

だって、テレビ放送するならバレエはテレビで見ればいい、でも彼のこの待機中の表情は、今、観ておかないともう二度と観れない・・って思って。。。。。。(あほですあほ)

でも、やっぱり一番上手な踊り手も第4楽章に出てくるわけで。リハーサルの映像で観ていて一番惹きつけられたオスカー・シャコン、
その彼が踊るのは観たかったけど、なんでよりによって第4楽章なの・・もうここは、バスソリストにロックオンするしかないというのに・・;

(しかも第四楽章は、踊り手がそれぞれ声楽のソリストと呼応して振り分けられていたということで、シャコンがバスの担当だったということも、全公演が終わった後で知ったという大間ぬけ…なんという贅沢なシチュエーションだったのに、これもみすみす見逃してしまったという…orz)

という感じで、巷の人々が一番感動的だったという第4楽章の相乗効果も、私は味わえてないというわけ。


【Vino,Vino,Viva!Vino...!】

で、バスソリストを担当したアレクサンダー・ヴィノグラードフですが、
あの悪条件の中でよく声も出てたし、歌唱的にはほぼパーフェクトだったと思います。 彼が歌い出すまではもうドッキドキで、

「聞かせて…聞かせて、ここで、東京で。あなたの歌を、あなたの声を!」と祈るような気持ちでしたけど、

歌い出した瞬間、演奏だけではなく、客席の雰囲気も、それまでの空気が一変したのを、私も確かに感じた…


殆ど第九を聴いたことがないというバレエファンにも「バスの深い声には心を持って行かれた」とか「深い声にしびれた」とか、
さらには
「凄まじかった」とか、いささか仰々しいことまで書かれてたのにはびっくりしましたけど、嬉しかったです^^;;;

彼の第九の歌唱は、実演では私も初めてで、過去には2回、放送音源を聴いてますが

Beethoven "Sinfonia Nº9" Gulbenkian- Lisboa ...

その時は「悪くはないんだけど、彼にどんぴしゃの歌じゃないし、煽られてドキドキするような歌じゃないから萌えないんだよね」というのが正直な感想。
まあ、ソーイウ歌じゃないですしねえ^^;

でも今回は本当に自信に満ちていて、歌に確信持ててるね、って、私も素直に思える歌唱で、それはそれは素敵でした。
音域的には彼の声には多分ちょっと高いと思うんですが、最高音から最低ま、ムラなく良く出てたと思います。 大地の色として独唱者全てが茶色に統一されたスーツ姿も私には新鮮。
(最近はエンビばっかりだったから…)

そしてはっとさせられたのは、導入部の独唱部分よりも、四人でハーモニーを歌う部分。急遽出演なさったテノールの福井さんを始め、女性ソリストとも良く合っていたと思います。
相手の歌をちゃんと聴いて、決して俺だけ…にならないのが彼の良いところの一つだと確信してますが、合わさった声の中から、私の一番好きな声を探り当てるように聴く…これがなんとも、耽美な感情を呼び起こす、みたいな感じで、つい今回もやってしまいました( ´艸`)

そして第3楽章からじっと彼だけ見つめる×3回ですからね。
それはそれは、至福の瞬間でした。

でも、二日目の昼公演の時は、第3楽章の時からすっごく張りつめた感があって「ああ、疲れているな・・」ってのが、双眼鏡越しに観て取れて…もう心配で心配で。

第九なんて、歌うところはほんの少しですし、独唱者には美味しい仕事だよね~みたいなことも思わなくもなかったんですが、
どんなに歌う場面が少なくても、歌手にとっては、体調を整え、声の調子のピークを公演に合わせなきゃならない、という作業はいつだって、どんな場面でだって同じなんですよね。

それを、地球の反対側まで飛んできて、僅か一週間弱の滞在で、体内時計の調整にも気を配りながら、キツいリハーサルの日程もこなして本番に備え、素晴らしい歌唱を披露してくれた彼には、本当に頭の下がる思いです。

最初の日は「来てくれてありがとう」でじわじわ、
昼公演の時は「3回聴けるのは事実だけど、もう2回目が終わろうとしていて、そしてこの3時間後にはもう全てが終わっちゃう」とじわじわ、
最後は「お願いだからあと1回、踏ん張って頑張って!!」でじわじわ・・;

そんな状態だから、冷静に見聞きなんて全然出来てないんです。もう、2日間で3公演なんて短過ぎるし、あっという間過ぎる。
オペラならインターバルがあるから、私も立て直しが出来るのに、感情ばっかり先行してしまって、何もできなかったもの。。。

そして、そんな素敵な歌を歌ってくれたのに、あまりにも彼の位置は遠過ぎて・・全身で彼の声のシャワーを浴びたいのに、体感できない。

これはもう、2階席だったから…とかいうレベルじゃなく、たとえ1階の最前列だったとしても、舞台の奥にしつらえてあるひな壇からでは、どうにもならなかったと思います・・

【Sound...:(】

それは音全体にも言えることで・・

実演って、ホール全体を通して伝わってくる音響とか、オケの弱音とか、もっと親密な感じだと歌手の息遣いまで響くような、音の中に包まれることが最大のヨロコビだと思うのです。
その点で、決定的に舞台との親密感に欠ける気が・・;

この企画だったからこそ、これだけ多くの方々の注目も集め、録画も行われ、世界にも発信されたことは重々承知してます。
でも、せめて一度だけでも違うホールで、オケと声楽だけの【普通の】第九をやって欲しかった…というのが正直な本音です。

それと図らずも、バレエ、オケ、ソリスト、合唱・・と、芸術の総合ごった煮のような状況での鑑賞によって
自分はやっぱり「人の声」が好きなんだと実感しました。

確かに、肉体を駆使して様々なことを表現するバレエも第一級の芸術だと思います。
でも私は、踊りだけでは心を揺さぶられない。同様に肉体を楽器として使う歌い手、声で人間の喜怒哀楽を表現してくれる芸術にベクトルが向いている人間です。
確かに私には、既に強烈に引き付けられている因子があったことで、その点に対するアドバンテージが既に備わっているんですが、
それを差っ引いても、視覚よりも聴覚への刺激、快楽を欲している・・とでも言うのかな…
そこに惹き付けられている自分の嗜好を、嫌という程認識することになったかな・・と思いました。

そういうことを色々と考える切っ掛けになったこと自体が私にとっての「得難い体験」であり、作品そのものに対する感想を・・というと、どうしても浮かばない、という状況でして。。。

それこそ巷では賞賛の嵐で「すごい体験だった」とか「時空を超えた奇跡の体験だった」とか、なんだか大げさで仰々しい美辞麗句が飛び交ってて、
それも、感想文がなかなか書けなかった要因の一つでもあります・・;

でも他の皆さんの鑑賞意識の高さにたじろいでもいて、バレエのバの時も知らない私なんぞがこんなアホな感想書いて、図らずも出演歌手のファンサイトに載せていいものかどうか、とか,
悩みつつ・・・
とりあえず、自分のブログにえいや!っと載せてみます。。。

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ハイライト 12月21日(日)BSプレミアムにて放送があります:)))

先行して配信されているMedici.TVのハイライト


<東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 7>

「第九交響曲

テキスト: フリードリヒ・ニーチェ 
音楽: ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
オリジナル美術・衣裳:ジョエル・ルスタン、ロジェ・ベルナール 
照明:ドミニク・ロマン
衣裳制作:アンリ・ダヴィ

指揮:ズービン・メータ
演奏:イスラエルフィルハーモニー管弦楽団
出演:東京バレエ団、モーリス・ベジャール・バレエ団 

ソプラノ:クリスティン・ルイス  
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:福井敬 
バス:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

パーカッション:J.B.メイヤー、ティエリー・ホクシュタッター(シティーパーカッション)
合唱指揮:栗山文昭 
合唱:栗友会合唱団

◆主な配役◆

≪プロローグ≫
フリードリヒ・ニーチェのテキスト朗読:ジル・ロマン

≪第1楽章≫
柄本弾
上野水香
梅澤紘貴 三雲友里加
入戸野伊織  高木綾
岸本秀雄  奈良春夏
乾友子、渡辺理恵、村上美香、吉川留衣、岸本夏未、
矢島まい、川島麻実子、河合眞里、小川ふみ、伝田陽美
安田峻介、杉山優一、吉田蓮、松野乃知、原田祥博、
和田康佑、宮崎大樹、上瀧達也、山田眞央、河上知輝

≪第2楽章≫
キャサリーン・ティエルヘルム
大貫真幹
コジマ・ムノス、アルドリアナ・バルガス・ロペス、大橋真理、
沖香菜子/キアラ・ポスカ、クレリア・メルシエ
ヴァランタン・ルヴァラン、ウィンテン・ギリアムス、
ドノヴァン・ヴィクトワール、マッティア・ガリオト、アンジェロ・ペルフィド

≪第3楽章≫
吉岡美佳
ジュリアン・ファヴロー
リザ・カノ、ファブリス・ガララーギュ
ポリーヌ・ヴォワザール、フェリペ・ロシャ
ジャスミン・カマロタ、渡辺理恵/キアラ・ポスカ、
カルメ・マリア・アンドレス、アルドリアナ・バルガス・ロペス
スン・ジャ・ユン、エクトール・ナヴァロ、
ヴァランタン・ルヴァラン、ハビエル・カサド・スアレス

≪第4楽章≫
導入部
オスカー・シャコン
これまでの楽章のソリスト
柄本弾  大貫真幹  ジュリアン・ファヴロー

「歓喜の歌」
オスカー・シャコン(バス) 那須野圭右(テノール
マーシャ・ロドリゲス(ソプラノ) コジマ・ムノス(アルト)

フーガ
大橋真理、ウィンテン・ギリアムス
アルドリアナ・バルガス・ロペス、エクトール・ナヴァロ

フィナーレ
アランナ・アーキバルド

モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団
アフリカン・ダンサー(特別参加)

Copyright ©Valenciennes Traeumereien 2014-